主人公の女性やその夫の弟が色々な精神疾患を患いある精神科医に受診を請うが・・・というお話。
作品のネタに触れるので興を削ぐ可能性があるので以下は本書を読んでから読んでもらいたいです。
サイコスリラーの源流はブロックの「サイコ」とブラウンの「3、1、2とノックせよ」(どちらも1959年発表)とされてますが、本書はブラウンの方の嫡流になる所謂「ビョーキより怖い健常者」をネタにしたサイコスリラーになっているようです。作中にも出てくるコンドンの「影なき狙撃者」の影響の色濃い、悪徳精神科医が患者を自分の意のままに操り悪いことをさせたり、自分の都合のいいように扱ったりと読んでいて不快になるような悪徳精神科医が物語の主軸になりいかにしてその正体を世間に暴露し追い詰めるかを大筋にしたサスペンス小説。私も実を言うと登場人物が悩んでいる加害恐怖を患っていて今は比較的に落ち着いていますが、再発したらという恐怖は日々引きずっていて他人事に思えない、怖い作品でした。それと私が受診している精神科医の先生はいい人ですが、世の中広いのでここで出てくる悪い精神科医のようなタイプもいないとは言えない恐怖を感じました。
日本で独自に編纂されたクーンツ論によるとホラーとサイコスリラーには近しい部分がありホラーで出てくる怪物にあたるのがサイコスリラーに出てくるサイコキラーだそうで、そういえばモダン・ホラー(死語)の作家は必ずスーパーナチュラルな要素を排したサイコスリラーを書いていて、キングは「ミザリー」「ローズ・マダー」、マキャモンは「マイン」、シモンズはちょっと無理に言えば「殺戮のチェスゲーム」にあたる作品だと思いました。
クーンツは著作が膨大なのでとても全ては読めませんが、今まで読んだなかではこれが一番面白いというかよく出来ていると思いました。サイコスリラーのファンは読んだほうがいい傑作。それとコンドンの「影なき狙撃者」を先に読んだ方がより楽しめるかも。
蛇足が幾つか。作中でストレート・エッジに関する記述がありましたが、ストレート・エッジの思想はハードコア・パンクから発生したものでメタルとは違います。メタルとパンクで価値観や考え方が異なるのでファンから怒られますよ。それと、以前超訳で出ていたクーンツの作品で版権が切れたら普通の訳に改訳してだし直してもらいたいですね。
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汚辱のゲーム 上 講談社文庫 く 52-1 文庫 – 2002/9/1
優しい夫との暮らしを楽しむ女性ゲームデザイナー、マーティを襲った殺人衝動の罠!最新サイコ・サスペンス
フォークが、栓抜きが、血に飢えた凶器に見える!
美貌の女性ゲーム作家、マーティの心に突如兆(きざ)した残虐な殺人衝動。夫のダスティは精神の均衡を失い消耗していく妻の姿に驚き、原因を探ろうとするが、やがてふたりの周辺で、原因不明の不吉な事件が起き始める。
巨匠D・クーンツ、待望の最新サスペンス!
フォークが、栓抜きが、血に飢えた凶器に見える!
美貌の女性ゲーム作家、マーティの心に突如兆(きざ)した残虐な殺人衝動。夫のダスティは精神の均衡を失い消耗していく妻の姿に驚き、原因を探ろうとするが、やがてふたりの周辺で、原因不明の不吉な事件が起き始める。
巨匠D・クーンツ、待望の最新サスペンス!
- 本の長さ531ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2002/9/1
- ISBN-104062735369
- ISBN-13978-4062735360
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商品の説明
著者について
■ディーン・クーンツ(でぃーん・くーんつ)
■田中一江(たなかかずえ)
【ディーン・クーンツ】
1945年ペンシルバニア生まれ。1968年、SF小説“Star Quest”で長編デビュー。’70年代は様々なペンネームを駆使してジャンルを問わずに大量の小説を発表。1986年、『ストレンジャーズ』でブレーク。以後、スティーブン・キングと並ぶモダンホラーの旗手として数々の作品を発表している。作品に『ウォッチャーズ』『コールド・ファイア』『心の昏き川』『ミスター・マーダー』他がある。
【田中一江】
1953年東京生まれ。東京女子大学英文科卒。訳書にディーン・クーンツ『ウィンター・ムーン』『奇妙な道』、ロバート・レスラー『FBI心理分析官2』、パーネル・ホール『罠から逃げたい』、ジャニーン・キャドウ『無法の正義』、BJギャラガー『ペンギンの国のクジャク』、オースン・スコット・カード『エンダーズ・シャドウ』他がある。
■田中一江(たなかかずえ)
【ディーン・クーンツ】
1945年ペンシルバニア生まれ。1968年、SF小説“Star Quest”で長編デビュー。’70年代は様々なペンネームを駆使してジャンルを問わずに大量の小説を発表。1986年、『ストレンジャーズ』でブレーク。以後、スティーブン・キングと並ぶモダンホラーの旗手として数々の作品を発表している。作品に『ウォッチャーズ』『コールド・ファイア』『心の昏き川』『ミスター・マーダー』他がある。
【田中一江】
1953年東京生まれ。東京女子大学英文科卒。訳書にディーン・クーンツ『ウィンター・ムーン』『奇妙な道』、ロバート・レスラー『FBI心理分析官2』、パーネル・ホール『罠から逃げたい』、ジャニーン・キャドウ『無法の正義』、BJギャラガー『ペンギンの国のクジャク』、オースン・スコット・カード『エンダーズ・シャドウ』他がある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2002/9/1)
- 発売日 : 2002/9/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 531ページ
- ISBN-10 : 4062735369
- ISBN-13 : 978-4062735360
- Amazon 売れ筋ランキング: - 383,274位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年11月22日に日本でレビュー済み
2003年5月18日に日本でレビュー済み
いきなり出てくる俳句。しかも名句。そして作中に詠まれるとんでもない駄作の句の数々。別に日本人の読者を強く意識しているとも思えないんだけど、妙に親近感の涌く作品でした。
そして、この作品はサイコスリラーで始まってコメディで終わる稀有な作品でもありました。まあとんでもない悪いドクターが出てくるのですが、こいつがなんとも・・・。ハリスやアイルズが造形するサイコを思いっきりパロディにしたようなものすごいど変態。それでもってスピルバーグのいうボーイズハートを持っているような悪魔。いやー、読んでいてずっこけるか最後まで楽しめるか?クーンツにつままれるような気分になる迷作ではあります。某超訳ではないのが心の底からうれしいです。
そして、この作品はサイコスリラーで始まってコメディで終わる稀有な作品でもありました。まあとんでもない悪いドクターが出てくるのですが、こいつがなんとも・・・。ハリスやアイルズが造形するサイコを思いっきりパロディにしたようなものすごいど変態。それでもってスピルバーグのいうボーイズハートを持っているような悪魔。いやー、読んでいてずっこけるか最後まで楽しめるか?クーンツにつままれるような気分になる迷作ではあります。某超訳ではないのが心の底からうれしいです。
2003年4月17日に日本でレビュー済み
実はDean Koontz を読むのはこれが初めてなのですが、最初の方の鬼気迫る恐怖感の描写は言いようのない不安に襲われるほどでした。包丁を見るのが怖くなったほどです。それほどの恐ろしさに読者を引き込みながら、次第に恐怖の実体を明らかにしていき、最後にはすべてが白日の下にさらされるのです。恐怖とはこのように作り出され、このように解明されるものなのだと納得できる説得力のある小説でした。少し長い話ですが、読みがいがありました。Koontz は他にも多数の優れた小説を世の中に送り出しているので、これから Koontz ワールドにのめり込んでいこうと思います。
2008年7月30日に日本でレビュー済み
終盤で天然ボケのお馬鹿なクーンツ節が爆裂するが、
ラストの怒涛の展開に至るまでが退屈すぎて駄目。
下巻だけ読めといいたいが、
ミステリとしての伏線は上巻にも埋まっているし、
やっぱ辛くても上巻から読まないとアカンな。
解説の春日武彦はラスト100Pで小説の神がクーンツに降臨したと言っているが、
普通の作家なら最初の雰囲気で最後までまとめるよな。
計算してこんな話書く奴いねえよw
ショッピングモールで反キリストに遭遇した場合の対処法を書いたカルト教団の本の
ネタはもちろんギャグだが、
「邪教集団トワイライト」は21世紀に復活したのかと期待してしまいますぞ。
凄惨な殺し合いの動機が、しょーもないのにも大笑い。
笑い事ではなくて、そのうちそんな動機で殺人する奴も出てきそうだが…。
人に堂々と薦められないが、
俳句マニアの殺人鬼の辞世の句には大爆笑すること間違いなし。
ギャグでなくて、究極の恐怖症、
自分恐怖症をメインにしたスーパーナチュラルは出て来ないスリラーです。
鏡に映る自分が怖い!やっぱギャグか?
どうせギャグになるんなら、文学的な比喩表現刈り込んで、
前半は100Pに削るべきでしたな。
ラストの怒涛の展開に至るまでが退屈すぎて駄目。
下巻だけ読めといいたいが、
ミステリとしての伏線は上巻にも埋まっているし、
やっぱ辛くても上巻から読まないとアカンな。
解説の春日武彦はラスト100Pで小説の神がクーンツに降臨したと言っているが、
普通の作家なら最初の雰囲気で最後までまとめるよな。
計算してこんな話書く奴いねえよw
ショッピングモールで反キリストに遭遇した場合の対処法を書いたカルト教団の本の
ネタはもちろんギャグだが、
「邪教集団トワイライト」は21世紀に復活したのかと期待してしまいますぞ。
凄惨な殺し合いの動機が、しょーもないのにも大笑い。
笑い事ではなくて、そのうちそんな動機で殺人する奴も出てきそうだが…。
人に堂々と薦められないが、
俳句マニアの殺人鬼の辞世の句には大爆笑すること間違いなし。
ギャグでなくて、究極の恐怖症、
自分恐怖症をメインにしたスーパーナチュラルは出て来ないスリラーです。
鏡に映る自分が怖い!やっぱギャグか?
どうせギャグになるんなら、文学的な比喩表現刈り込んで、
前半は100Pに削るべきでしたな。
2002年9月29日に日本でレビュー済み
クーンツの作品は主要人物と敵対する人物なり化け物なりが、同情すべき相手の場合とそうでない場合に大きく分かれるけれど、これはまさに後者、その手の作品の集大成とも言えるのでは。その人が誰であるかわりと早めに明らかになってあとは大団円にむかうのかと思ったら、そこからがまた「ジェットコースターがまた登り始める」という感じで、最後までいくつもいくつもびっくり箱をあけるようなお話。
クーンツは結局最後はハッピーエンドでしょ、わかってるからつまらないと思う人こそこれを読んで、そこにたどりつくまでの手に汗握るスリルとサスペンス、そしてそのハッピーエンドにたどりつくのに人間にはほんとは何が必要かっていうのを感じてほしいです、むろんクーンツは小難しくそんなことを論じたりはしてませんけど。
クーンツは結局最後はハッピーエンドでしょ、わかってるからつまらないと思う人こそこれを読んで、そこにたどりつくまでの手に汗握るスリルとサスペンス、そしてそのハッピーエンドにたどりつくのに人間にはほんとは何が必要かっていうのを感じてほしいです、むろんクーンツは小難しくそんなことを論じたりはしてませんけど。
2007年6月11日に日本でレビュー済み
人間誰しも心の内に抱えている様々なものに対する恐怖心。これを催眠術と薬物療法で人為的に引き起こし,人格操作を図るマッド・ドクターとターゲットにされたペンキ屋夫婦。このハンニバル・レクターを彷彿とさせる医者が俳句マニアという設定が面白い(俳句というより季語のない川柳だらけなのはご愛嬌)。
クーンツ全盛期ならばおそらく上下巻700ページほどで,しかも,さらにアイデアを詰め込んだノンストップサスペンスに仕上げていただろうに,中盤の冗長さがイタイ。ただ下巻に入ってからの,特にラスト100ページは盛り上がるので,途中で放り出さず読了することをおすすめする。
クーンツ全盛期ならばおそらく上下巻700ページほどで,しかも,さらにアイデアを詰め込んだノンストップサスペンスに仕上げていただろうに,中盤の冗長さがイタイ。ただ下巻に入ってからの,特にラスト100ページは盛り上がるので,途中で放り出さず読了することをおすすめする。
2001年4月16日に日本でレビュー済み
初めの50ページはちょっと理解に苦しんだが、いったんからくりが分かるとがぜん面白くなる。とくに後半の展開は速く、どきどきする。「アマゾンドットコムの読者レビュー」など、最近のアメリカ事情が盛り込まれているのも興味深い。ただ宣伝文句ほど怖くない。サイコサスペンスのつもりで読んでいたら、いつのまにか普通のサスペンスになっていた、という感じだ。
他の国からのトップレビュー
Aisha
5つ星のうち5.0
Quintessential Koontz
2024年3月30日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
No spoilers be here...
The protagonists and their supporting cast have integrity, are intelligent, are sympathetic, and in general are people you can root for.
The antagonist is the epitome of narcissistic evil (made more impactful by his twisted sense of humor and delight in his own wit)
In-the-wings antagonists bring on teeth gnashing due to their world view.
In addition to moving the story along, the narration is alternately intense and hilarious.
Delightful!
The protagonists and their supporting cast have integrity, are intelligent, are sympathetic, and in general are people you can root for.
The antagonist is the epitome of narcissistic evil (made more impactful by his twisted sense of humor and delight in his own wit)
In-the-wings antagonists bring on teeth gnashing due to their world view.
In addition to moving the story along, the narration is alternately intense and hilarious.
Delightful!
Terry Cornish
5つ星のうち5.0
As advertised
2021年12月17日にカナダでレビュー済みAmazonで購入
All is good. Perfect condition.
Sandro Mendonça
5つ星のうち5.0
Excelente. Psicologicamente intrigante.
2019年1月10日にブラジルでレビュー済みAmazonで購入
Li cada capítulo e parei pra refletir depois sobre a psicologia envolvida. É um terror psicológico sem precedentes, com reviravoltas surpreendentes. Recomendo muito!
Shirley
5つ星のうち5.0
CONFUSED
2018年1月15日に英国でレビュー済みAmazonで購入
An awful tale read
Of things better left unsaid
And eyes with tears shed
As usual with Koontz I was gripped from the first page. However, after so many of his books that I have happened upon, this one left me wondering about his own character. I am not a naive woman, I sadly know about the unthinkable atrocities that some humans can inflict on others, even unbelievably on children. This book is of course, thankfully, fiction, but I found it very difficult to read, and to understand why Mr Koontz found it necessary to write about the subject of abuse of the most precious of human beings (admittedly it was only a very small portion of the book). I always give him 5 stars, but by that stage I was considering 3. However the actual plot was excellent, and I realised that although I wouldn't have gone into so much detail, Mr Koontz is still a very nice man, who probably felt that his book needed this honesty. I ended up giving him 5 again, as it was, as usual, brilliant. I hope that no-one thinks that my attempt at Haiku is too awful.
Of things better left unsaid
And eyes with tears shed
As usual with Koontz I was gripped from the first page. However, after so many of his books that I have happened upon, this one left me wondering about his own character. I am not a naive woman, I sadly know about the unthinkable atrocities that some humans can inflict on others, even unbelievably on children. This book is of course, thankfully, fiction, but I found it very difficult to read, and to understand why Mr Koontz found it necessary to write about the subject of abuse of the most precious of human beings (admittedly it was only a very small portion of the book). I always give him 5 stars, but by that stage I was considering 3. However the actual plot was excellent, and I realised that although I wouldn't have gone into so much detail, Mr Koontz is still a very nice man, who probably felt that his book needed this honesty. I ended up giving him 5 again, as it was, as usual, brilliant. I hope that no-one thinks that my attempt at Haiku is too awful.
Ansia K.
5つ星のうち4.0
Appassionante
2017年5月5日にイタリアでレビュー済みAmazonで購入
Lo inizi e non lo molli più, visto che precipiti in una spirale di tensione. La qualità della prosa mi pare notevole rispetto alla media del genere...